2010年 11月 28日
ご予約の鴨 そして最後のディナー |
今季、これで6羽目(?)の鴨を召し上がられたお馴染さんから、料理を通じて、先入観に囚われないで本質に近づくことの大切さを教えて頂きました。いつも本気で私の仕事に向き合って下さったことで、多くのことを学びました。理想とする形を現実化するためには大きな心で事を運んで行くんだよ。生涯を賭けた仕事の中で胸を張って誇れることは数える程であっても、その可能性を喜びとして、日々仕事に励み続けることが大事なんだよと、いつも温かく見守って下さいました。
今夜の付け合わせのじゃが芋から、料理の普遍性、人間の営みの美しさを評して下さったことは、忘れることの出来ない思い出に、そして、大きな励みになりました。
深く、心から感謝します。
馴染みのお客さんから、お疲れさんの贈り物。少し離れた所へ新居を建てられ、近々引っ越されるFさん。お忙しい中の今夜のご来店、とても嬉しかったです。このシャンパンは、新しい店にいらして下さった時に一緒に飲みましょう。それまで大事に保管しておきますが・・余り長く寝かせても良くないので、新しい生活が落ち着いたら新快速に飛び乗って、西明石に来て下さいね!!
出張帰りの慌ただしい中、急いで駆けつけて下さったYさん。
今日の英会話(?)”extremely ”に楽しかったです。またやりましょうね!
美味しいロールケーキ、有難うございました。ブランドの名前、覚えられないのですが・・トリノのチョコレートで有名なお菓子屋さん。ペロッと食べちゃいましたが、味はちゃんと心に記憶しました。
いつも変らないお二人の優しい眼差しの中に、「シェフ、頑張ってね!応援してるよ!」の声が満ちていました。ヒマで凹んだ時、よく思い出しました。ゆっくりと、丁寧に召し上がって下さっている姿。多過ぎる量に戸惑いながらも、懸命に(?)やっとこさ平らげて下さった時のほっとしたお顔・・。時にはお昼を抜いて、覚悟していらして下さっていたこと、懐かしい思いです。
こうやって最後の営業を終えてしまうと、何もかもが愛おしくなります。
開店したての頃はいつも木の匂いがしていました。
始めの数ヶ月は毎晩居残ってちょっとした工作や配置変えなどに勤しみました。
帳簿に慣れるまで、随分、時間がかかりました。
懸命にやってきた15年ですが、後悔すること、多々ありました。
何人もの若者が働きに来てくれましたが、多くは失意のうちに去りました。
みんな真面目で一生懸命だったのに、私の度量の狭さから多くの若者を苦しめたことは痛恨の極みです。不必要なストレスを与えたことを、今更ながら、心から詫びたいと思います。
友達に助けられました。
きつい言葉ながら、叱咤激励してくれた同業の仲間。
どんな時でも声をかけてくれ、一緒に酒を飲んでくれたY さん。
人がいなくなって困った時、快く手伝いに来てくれた幾人もの友達。
日々の喜怒哀楽を受け止めてくれた居酒屋の店主夫婦さん。
母親の作ってくれた花や野菜で生き延びれました。
特に春の花が一番好きでした。色とりどりの花とハーブをブーケにし、テーブルに飾る時が至福の時間でした。
15年の内の9年ほどは一人でやりましたが、一人ではありませんでした。
多くの助けがあって今日に至りました。
改めて皆さんにお礼を述べたいと思います。
心から、有難うございました。
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by comme-tu-veux
| 2010-11-28 00:00
| 日記